ガッタスの光と影と蚊帳の外

昨年の秋。

吉澤をはじめとして、藤本、柴田、紺野、是永、澤田、武藤等のガッタス選抜なメンツが来札し、里田率いるサッポロチェルビーズと直接対決するという共食いイベントがあった。

そのことを当サイトで自分なりに真摯に書いたところ、リンクを貼ってくれた人がいた。その行為自体はたいへんありがたいのだけれど、なんかそのサイトの人曰く、ぼくの記述には「基本的なところに勘違いというか知識不足な所が見え隠れ」という話であった。他人のブログで言及してくれたことにいちいちビクビク反応してても仕方ないこととはいえ、これにはちょい悩んだ。あんまりガッタスチェルビーズに詳しくないのは認めるにしても、はたしていったいどこがどう勘違いなのか、さっぱりわからず、またそのサイトの人にいちいち尋ねるのもヤボというものであり、心情的な着地点を見失った。

ガッタスを中心とした芸能人女子フットサルに疎いどころか、ぼくの中ではしばらくのあいだガッタスブリチャンチスエイチピーというもの自体が、ハナから「無いこと」になっていた。経緯としては「音楽ガッタス」からの逆輸入的な流れの中で初めて「ガッタス」を意識づけられたくらいだ。サポーターもアンチもなにもあったもんじゃない。テレビも無ぇ、ラジオも無ぇ、なにより試合をやってねぇ。オラそんなガッタスは知らねぇとうそぶくしか無いじゃないか。地理的物理的な条件をもってしてすべてにおいて力及ばじ。気がつきゃいつの間にか人気が過熱、かと思えばいつの間にか常温に落ち着いてしまっていた。

紙媒体にも展開して「 Sals 」があるのも知ってるし、たぶんハワイツアーとかもやってる。でも正直どれもこれもコップの中の嵐と思う。石川さんガチヲタのぼくですらそうなのだから、音楽ガッタス以前の話として「ガッタス」が何なのかは、ハロヲタはともかくとしてそもそもごく一部の人にしか伝わっちゃいない。古参なたとえ話として、モーニング娘。がミリオンいったからこそ初めて「プッチモニ」も「ミニモニ。」もチャートの急先鋒たり得た。それと同じ方法論をなぞっているのかも知れないけど、やっぱり「ガッタス」自体がわけわかんないんだから「音楽ガッタス」が認知度低いのも道理すぎるほど道理である。


とか一通りつまらないことをボヤいてみても、やっぱりつんく♂作品ならびにメンバーの大部分は好きな人たちに違いないので、総論反対、各論賛成、シングルならびにシングル V 「鳴り止まない恋の Bell 」「やったろうぜ!」はすべて身銭を切ってきちんと堪能した。「鳴り止まない恋の Bell 」はハロプロ史上でもベスト 30 にはぶち込みたいナイス楽曲だと賞賛してやまない。この曲だけは詞曲ともに実によくできとる。たまに聴いてて泣きそうになる。いっぽう「やったろうぜ!」は巷間ひどい言われようだけれど、それほどひどい曲じゃぁない。個人的にはカラオケで歌ってると半音上がったり下がったりが音程取れず笑えない音痴ぶりを発揮してしまうので不得手です。


で、音楽ガッタスのツアーがあるらしい。

今週末に始まり 3 月 2 日に幕を閉じてしまう東名阪のみの小規模なツアー。もはやツアーという名が泣く。当然北海道になんて来やしない。東名阪以外のファンの心境をどうあがいても遠ざけている直接的な原因のひとつがツアースケジュール発表段階におけるこの「来やしない」な落胆なんだけど、当方それでも従順な隷属ファンであるため、こちらから飛行機ピュッと飛んでいって東名阪どこかの公演に行こうか行くまいか、ファンクラブでの申し込みの段階で悩んでいたし、なんならツアー開始直前の現段階だって迷っているのだ。なんだかんだいって石川をメインに吉澤との年配組タッグというのも強力だし、まぁ里田も紺野もいるし、あとなんといっても真野ちゃんがいる。真野ちゃんが。いる。

そんな中、ぼくが音楽ガッタスのツアーに行くか行かないかは、音楽ガッタス名義でなぜかリリースされてしまうというファーストアルバム「 1st GOODSAL 」にかかっているといえた。その音楽的な出来によっては神ツアーになることも予想され、慌てて予定を組まなくてはいけない。と、それなりのファンとして単純に出来が宜しいことを期待するいっぽうで、でも出来がいいとツアー行かなきゃいけないし交通費も宿泊費もかかるし、できればそこそこの出来に、できれば GAM のアルバムくらいのクオリティに留めておいて、「あ、これくらいならツアー行かなくていいや。やぁ残念残念(笑」という心理状態に自然と追い込んで欲しい・・・などと複雑な欲求を抱いていた。


はたして結果はいかに。フラゲしてちゃんと買ったよ。


一曲目「抱きしめて・・・涙」はおなじみ松井寛アレンジで「笑顔 YES ヌード」「 BE ポジティブ!」「鳴り始めた恋の BELL 」に続いてハロプロ 4 曲目の登場かしら。クオリティ高ッ、と直感的に断言したい。このアルバムにはダンス☆マンも名前を連ねており、なにげにアレンジャー見本市の様相を呈していると思う。鈴木 daichi 秀行と AKIRA がいないくらいで。たまにはそういうのもいい。

「お先にすんずれい」は加藤茶テイスト満載のふざけた曲名も映える軽快ポップ。山崎淳というアレンジャーの評判はやれワンパターンだとか必ずしもよくないけど矢島舞美ソロの「夏 DOKI リップスティック」なんてのもあるしなかなか奮闘してると思う。ただしこの曲の間奏前で叫ばれる「オーライ、ギター!」ってセリフ(この金切り声は石川だろうか)は、同じ音楽ガッタスの 1st シングルのカップリング「 DREAMIN'〜ガッタスブリリャンチス H.P.の応援歌」でも同じようなことをやっていてアイデア不足と思われても仕方がない。コンサート内でメンバーがこのくだりでエアギターをやるための布石だろうか。石川が美勇伝のロケで培ったエアギター魂を発揮するか。こないだ歌ドキでもやってたし。

「鳴り始めた恋の BELL 」は神曲であるが、曲順で割りを喰った印象。アップテンポで出来のいい 2 曲がオープニングを飾り、そのあとを受けてしまうと、せっかくの存在感も霞んでしまう。シングルの出来を踏まえた前評判からも音楽ガッタスの精神的タイトルチューンと思われ、いちばんおいしいところに配置したかった。

「青春のカスタード」は、これ、傑作でしょう。職人鈴木俊介からの贈り物。生音ファンクでブラスブリブリ。懐かし痺れるシンセストリングス。旧世代モーニング娘。もしくはプッチモニを彷彿させるメジャー感。吉澤里田の凛々しい男前歌唱。シングルカットできる出来。

「心の谷間」は一聴してそれとわかる平田祥一郎節。キュンキュンくる。そして真野ちゃん声の判別がつかないよ真野ちゃん。たぶんヘタなロリ声のほうが真野ちゃんであろうという限りなく確定的な憶測をもってこの歌声を愉しむ。能登ちゃんはのっちというニックネームが Perfume 姉さんののっちと丸かぶりなのでなんとかしてください。

「やったろうぜ!」は「鳴り始めた恋の BELL 」とは対照的にアルバムの中でこそ活き活きしている。中盤にどっしり腰を据えている。

「地球と月 彼と私」はまこと作詞かぁ。「 gravity 」なんて単語を最初聞いたときはつんく♂ちゃん語彙増えたなぁと感じ入ったけど、まことであった。曲はつんく♂なので石川フェイク歌唱がとても耳にこそばゆい。


総じて、しょっぱな「抱きしめて・・・涙」から 7 曲目「地球と月 彼と私」までは、曲名の奮わなさはともかくとしてアルバムとしては濃密なテンションで貫かれていた。そのあまりの出来の良さに顔をほころばせながらも、いっぽうではやばいツアー行かなきゃなんないやばいやばいとハラハラしてました。

ただ 7 曲目の「地球と月 彼と私」から、「色っぽい じれったい」系統の「カラゲンキ」、はたけ作曲の「恋占い通りにはまらないわ」、そしてエンディングの「キスしよう」まで、マイナー調でメロウな楽曲が 4 曲続いたので、つんく♂プロデュースのカラーといってしまえばそれまでながらも、ちょっと曲順の構成をミスっているんじゃないかと思った。

ラストの「キスしよう」はモーニング娘。カップリングにありそうな渋い曲。石川紺野コンビにしてはとってもよく歌えていて賞賛するのもやぶさかじゃない。ふたりとも如実に歌うまくなってる。ただ音楽ガッタスというそれなりに大きな箱のアルバムのラスト曲を飾るのがこの特に根拠もなく組まされているコンビの曲というのはどうも収まり的に珍奇なことで、聞き終えたあと消化不良な感に苛まれてしまった。

というわけで、どうやら好きなアルバムではあるんだけれど、すごいすごい完膚無きまでに打ちのめされました大絶賛です、というところまではいかず、このテンションからしてなんとかツアーに行かなくて済みそうだ。たすかった〜とかいってまぁ最初からどれもこれも己の匙加減ひとつなんだけど。残念ながら真野ちゃんにはしばらく会えそうにないが、そのぶん DVD で堪能することにする。



ここからは余談です。

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