ことミック

帰宅して大相撲名古屋場所 14 日目を幕内後半戦から鑑賞。

向正面の解説は元琴錦の親方で、こうして次々と現役時代をリアルタイムで観戦していた力士が解説者として働いていると、いよいよ自分も歳くったなぁとやるせなくなる。今場所見たかぎりでも、もはやすっかり大相撲中継に定着した感のある舞の海をはじめ、角界松平健と呼ばれた旭豊、ちゃっかり正面解説だった貴ノ浪などが挙げられ、そしてなんといってもニューカマーとしてはさきごろ引退したばかりの栃東が目立っている。

なかでも栃東は白眉ですね。現役時代もそう大きくはない身体で粘り強く理詰めな相撲をとる名大関だったけれど、名解説者としても既に大物の片鱗をあらわしていた。よどみのない流暢なしゃべりと知識や経験に基づいた的確であろうとおぼしき技術論評が早くも冴え渡っている。テンションは決して高くなく軽快な冗談とかも今のところ飛び出していないようだが、こないだまで現役だったのがウソのような穏やかさというか、へんな言葉を使えば「癒やしの解説者」みたいな感じである。推せる。

解説者の話ばかりで肝心の相撲に触れてなかった。琴光喜は三十歳を超えてようやく大関昇進を決定的にしているその遅咲きぶりがすげー。万年関脇で終わっちゃうのかと思ってたけど開花した。今場所こそ優勝争いのトップを走ってるけど、それよりもいっこうに「負け越さない」力士だというのが大関にあがってからは絶対的な強みになって、現役として長生きしそうである。