石田純一のガッツポーズ

29 日放送のテレ朝系「ロンハー」石田純一スペシャルは近来稀に見る放送だったと思うんですよね。

見切り発車で石田純一の密着取材を開始したのが「 2005 年 4 月」のこと。それ以降、ロンブー田村淳やごく一部の番組スタッフが石田の色恋沙汰を断続的に追いかけてきた。

それが「 1586 日目」にして、ようやく結実したというんです。なんて壮大な。


二度の離婚や元カノとの交際&別れみたいなプライベートは周知の事実だし、ワイドショーや活字媒体でも石田は常に注目され続けてきた。「ロンハーが番組ぐるみで取材していた」と今ごろ主張してみたところで、一見、他のメディアと変わりはないようにも見える。

だけど、なにより根本的に違うのは、ロンハーと石田純一とのあいだには“共犯関係”が結ばれていたことですよ。これがデカすぎる。石田純一や田村淳の自宅がたまたま超ご近所だったらしく、お互いの家に行き来してロケしたり、裸になって一緒に風呂入ったりもしてる。

ただのお互いの打算による出演、もしくは単に金儲けや視聴率のために過ぎなかったでしょうか。あくまでテレビ番組、一タレント同士なんだから、いろんな思惑が入ってくるのは自然なこと。

これらの取材 VTR って、番組内でも自虐混じりに淳が言ってましたけど、「必ずしも番組として成立するという公算がない」ままに撮影されたものなんですよね。その割り切り方も珍しいなと思うんです。

石田純一の結婚」をゴール地点に定めている。それゆえ、もしも「ロンハー」という番組自体がこの先終了するようなことがあって、それまで延々独身を貫かれたりしてしまうと、もう丸ごと引っくるめて全ボツになる可能性があったわけでしょう。「お蔵入り VTR 特集」みたいなかたちで放送されることはあるのかも知れませんが。

あくまで断続的なロケなのでさほど莫大なコストはかかってはなかったんでしょうが、ロンハースタッフにとっても淳にとっても、もちろん石田純一にとっても、ちょっとしたライフワークみたいなことになっていた。密着取材のことを隠したままロンハーにもたくさん出演してきました。今となってはみんないい思い出ですよね。

同じ映像作品でも、たとえば映画やドラマならば「構想○年」「制作○年」などという話をよく聞きます。いっぽうバラエティ番組って個体差こそあれ基本は「撮って出し」だろうし、むしろ毎週毎日のように締め切りがあるわけだろうから、一回の放送に費やす時間的なスパンが短くなるのも当然のことだと思います。

ただ、この「ロンハー」と、最近はあまり大仕掛けが目立たないけど「めちゃイケ」に限っては、そんな近視眼的なタイムスケジュールとはぜんぜん根本的にかけ離れたような視点から番組をつくってるような印象です。視野が広いというか、大局的というか。時間軸というフィールドを縦に長く活用してるって感じがしています。


先が見えないロケを積み重ねたら結果的におよそ 5 年かかってしまったというのは結果論だけど、秘密裏におこなわれていたそんな密着取材のことが「 5 年間いっさい誰にもバレてなかった」というのも地味にすごいですよね。

マスコミがまだ東尾理子との交際を嗅ぎつける前に、そのことが石田本人の口から淳にだけは直接伝えられていたわけです。それは結婚の決意からプロポーズの流れにしても同じこと。今だからわかるけど他のマスコミはすべてロンハーの後追い報道に過ぎなかった。

ちょっとでもバレてしまったら、今回の特番の直前までひたすら情報を秘匿してきたのも全部ドッチラケになるわけで、もう淳を含めた関係者全員どんだけ口が固いんだってことになります。宮根誠司もミヤネ屋で「ロンハーにしてやられた!」って嘆いてました。


それにしても石田純一東尾理子がリアルにいちゃついてた様子は、たしかにプライベートの切り売りも窮まった感がありました。

まだ石田純一のほうはロンハーのカメラで撮られてることがわかってるからいいんですが、むしろ何も知らされてなかったであろう東尾理子の素のベタベタぶりは、単純に見ていてこっ恥ずかしかったです。いやになまなましい。

プロポーズ直後に花火が打ちあがったタイミングで、ネタばらし的に淳やカメラが石田と東尾理子のもとへ集っていくさまは、一種のドッキリ大成功みたいな光景でした。東尾理子もそう言ってましたっけ。

もちろんギャラも発生するだろうからそれで手打ちなんでしょうけど、でもお金なんてもう別に要らないでしょうにね。ふたりとも。

東尾理子はなんだかんだ最終的に番組を楽しんでいたようなので結果オーライなんでしょうが、これで「どうしてこんなときまでテレビに映らなきゃいけないの!」なんて激怒とかしてたら、それこそ番組自体がお蔵入りになってたはず。すべてがギリギリです。

いっぽう東尾修パパは今回の放送を見ていたのかしら? 結婚を許すとか許さないとかの問題以前に、あんな海外のリゾートで石田純一にべったり甘えたあげくプロポーズを受ける愛娘の姿を見せつけられた日にゃ、頭おかしくなるんじゃないかという気が他人事ながらしています。


そんなガチのプロポーズよりも個人的に微笑ましいなと思ったのは、06 年 3 月に石田純一の家にロンハーが出向いたロケで石田が見せたまさかの「ガッツポーズ」でした。

当時の石田は彼女と分かれて独り身で、たしか一般の女子大生とうまくいくかいかないか、みたいなことを言っていた微妙な時期に突入している。

そんなとき、淳が石田に「誰か芸能界でタイプみたいな女の子います?」みたいなことをなにげなく聞いたんですよ。そこで石田純一が答えたのは「ほしのあきちゃんがいい」。

まぁそれはわかるんです。ベタすぎるというのはありますが、3 年前のことだから時期的にもほしのあきがグラビアで勢いを増していたときで、石田のお眼鏡にもかないましたよと。

で、その発言を受けて淳がこんな提案をしたんですよね。「じゃあ今度ぼくとほしのと石田さんの三人で食事会でもします?」。いいお誘いです。すると、それを聞いた石田純一は突然フルテンションで

「ヤッター!!」

って両手をあげてガッツポーズしてました。なんという朝青龍。「ほしのあきとの食事会」をただ提案されたってだけなのに条件反射で全身で喜びを表現しています。ときめいてます。基本的には賢い人なんでしょうけど、無邪気で無防備で、なんだか微笑ましい光景でした。