都会っ子純情ができるまで

ハロプロに限ったことじゃないけどシングル曲をいわゆる「シングルカット」して新曲を一から売り出していくのってレコード会社やら芸能事務所やらにとってみれば日常のルーティンワークでありながらもものすごく労力使うことなんじゃないか? とものすごく今さらなことを ℃-ute さんの目下ニューシングルでありメジャーデビューからの 3rd シングルである「都会っ子 純情」のシングル V を見ながら率直に思った。レコード会社やら所属事務所やらの「 ℃-ute は今後こういうイメージで売り出していきますよ」「年末の賞レースにバッチリはまるようにしたいですよ」などのスケジュール調整を含めたトータルコーディネートを端緒にその他さまざまなおとなの事情の兼ね合いの中、楽曲的にはつんく♂さんがまずはギターかっ弾きながらピコーンこれや!とひらめいてしまったメロディを突端としてそこからレコーディングディレクターか誰だか知りませんけど共同作業的に肉付けをおこなっていきそれなりの楽曲の全貌が見えたところでアレンジャーさんの手に渡って本格的なレコーディングが始まりつつつんく♂さんはそれと並行してどっかの段階で歌詞を 2,3 分ほどで鼻ほじくりながら書き上げてあまつさえその足でスタジオに赴いてつんく♂ボーカルバージョンによって仮歌を自らレコーディングしそのあたりでようやく初めて曲は ℃-ute さんたちに手渡されるわけですね。

やがて ℃-ute さんたちは自分たちの超かわいらしい声でレコーディングをしまして牧歌的なことを申しますれば楽曲に生命が吹き込まれる瞬間ってのは声が入ったその段階って感じでしょうね。ただそれで万端終わるわけではなくむしろその瞬間こそがすべての始まりなのであって楽曲は楽曲で編集っていうのかレコーディングされた音源をもとにユニゾンやらソロやらのパート割がなされたりトラックダウンだかマスタリングだかわけわかりませんけれどそういう技術的な工程を踏んでいきますよと。いっぽう ℃-ute さんたちは ℃-ute さんたちでそのお歌をステージで踊りながら未来まで届けとばかりに明るく愉しく激しく披露しなければいけないわけですから、そのためにまずはいわゆる「振り付け」すなわちダンスが必然的にくっつくので必死こいて覚えます。振り付け担当のコレオグラファーさんが一から構築していくものでこれも後々テレビ歌番組やコンサートで基幹を為す最重要動作となるわけですからまったくもってのっぴきならない作業です。 ℃-ute さんに微に入り細を穿つように伝授されるこの振り付けのダンスレッスンというのが実際のところハロプロアイドルお仕事のキモみたいな部分はあるかも知れませんね。単調でヲタでも手軽にできるような振り付けならばともかく ℃-ute さんの振り付けは総じてなかなか練られてこねくりまわされて凝った出来になっているものが多いですからフォーメーションなども実にたいへんそうです。それでこそ客たるこちらサイドとしても汗かいて必死に踊る甲斐があろうというものですがそれはともかく・・・。

さて振り付けは完璧です歌詞も覚えましたようやく人前でお披露目できる段階にありますよ、といきたいところですが、なんせシングルカットされるものですからビジュアル的な部分もゴリゴリに練っていかなくてはならず華々しいところではジャケット写真およびブックレットの素材なんかも盛んに撮影しないといけないわけですね。ヘアメイクさんやら衣装さんやらカメラマンさんやらデザイナーさんやらビジュアル専門なスタッフの人たちがあれこれ折衝しながら ℃-ute さんたちひとりひとりの身なりを順次整えていくのです。特にジャケット写真の各メンバーの映りの善し悪しおよび言語化しにくい「センス」みたいなものを考慮に加えたトータル的な出来不出来はかなりの重大事でこれによってファンからの評判は散々なものになるやも知れずひいてはただでさえ油断すれば落ち込みがちな売り上げも一挙泥沼と化しかねないのです。その点「都会っ子 純情」はシンプルながらもおしゃれな仕上がりになっているのではないかと漠然と感じています。

都会っ子 純情(初回生産限定盤)(DVD付)

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そしてハロプロのシングルではプロモーションビデオも制作されるのが半ば当然のことになっておりますしそれが「シングル V 」として個別に売り出されると貴重な売り上げ資源のひとつになるものですから手抜かりがあってはいけません。映像関係の監督さんなりカメラマンさんなり音声さんなりあとよく詳しく知りませんけれどそういう裏方の人たちも ℃-ute さんひとりひとりの魅力を最大限引き出すべく、あらかじめ大道具さん等によって構築されたスタジオセット、もしくはあらかじめロケハンしてここぞと決定された屋外ロケーションにて撮影を開始します。℃-ute さんたちも、こないだ覚えたばかりの振り付けをさっそくカメラ前で間違えることなくダンシングすることを中心として、小芝居してみたり静止したまま一点をじっとり見つめてみたり歩いたり走ったり玉状のものを海に向かって放り投げてみたりあるいは DVD のおまけとしてほとんど常備されているメイキング映像のためにカメラの前ではしゃぎまわってみたり、とアイドルさん仕事に忠実に従事して、ようやく長い一日が終わるわけですね。もちろん撮影された映像は編集スタジオに持ち帰られていじったりいじられなかったりつなぎあわされたりはがされたり、これもまた各方面と調整をしながら完パケされてようやく一本のシングル V として完成を見、日本のどこかにある CD プレス工場みたいなイメージのところで大量に機械的に生産されるのです。

あとそれと前後して会社の中では CD に封入する販促の特典は何がいいかあるいは「初回盤」をどうするか会議にかけてみちゃ、実際のところ「そうですねぇ〜、やっぱり握手会でしょうねぇ〜」「またやりますか、サーキット」「もうそれしかないですよねぇ〜」と半ば諦めムードも漂う中いつもの企画になし崩し的に決定してしまい、北は北海道から南は九州まで、航空便を中心とする交通機関や宿泊施設ないし食事の確保の他、℃-ute さんの学校行事との兼ね合いや成長期のメンバーの体調にも絶えず気を配りながら、現地での仕切りのイベンターみたいな人たちと協力してステージや音響設備を整えてその今いちばん売り出したいシングルを歌ったり踊ったりしたあげくファンの人たちとの握手会に臨むわけですね。もちろん小さい仕事ばかりしていても始まりませんから状況が許すかぎりテレビやラジオ番組など大きな媒体に出向いて宣伝することも怠ってはいけません。アイドル雑誌、音楽雑誌、フリーペーパー等の活字媒体にも ℃-ute 本人さんたち自ら登場してインタビューを受けてみたり、あるいはその誌面上にシングルの宣伝広告ページをダイレクトに設けてみたり、ポスターを刷って JR 駅構内にバリバリ張り出してみたり、家庭内テレビのみならず街頭の巨大モニターみたいなところで CM を打ってみたりインターネットの動画サイトに動画をアップしてみたり・・・。

もうやめますけど、たった一枚のシングル CD をリリースしようというだけで、たくさんの人たちが関わってこれだけの順番を必ず踏まないといけない、そんな気がするのです。上記のことはこれまでぼくが無駄にたくわえてきたハロプロ情報をもとに「なんとなくこういう手筈であろう」という憶測のもとで適当に書いていますけれど結果的に宣伝や商品などで目に見えているものはたしかにあるため上記のすべての段取りに関してそこに対するクリエイターさんたちの実力やモチべーションなど途中途中に力量差はあるでしょうけれども基本的には手抜かりはないと思われるのです。いつもジャケットデザインがセンス無いだのこのアレンジ仕事はないだの愚痴ばかり垂れていますしそれも本心ではありますが基本的にはアップフロントのみなさんも Zetima のみなさんもあと詳しくわかりませんけれど関係各位におかれましてももちろん ℃-ute のみなさんのみならずハロプロにまつわるすべてのみなさんも日々ホントお疲れさまだなー、と ℃-ute都会っ子純情」のシングル V を見たのをきっかけに、あらためて感じ入った次第なのでした。


ですから、このシングル V の中で我らが nksk こと中島早貴さんのお顔がこの期に及んでちょっとのっぺり白おばけみたいにお化粧が濃すぎて生気を失った感じでぶちゃいくに映し出されていようとも、そこはもはや泣き寝入りするしかないんじゃないか、だってみんながんばっているんだからサ! と爽やかにあきらめているのです。これが今回の更新でいちばん言いたかったことです。


まぁ味わいがあってこれはこれでいいんですけれど


ちなみにシングル V のメイキング映像での中島早貴さんは PV 本編とは印象がまったく異なり特に背伸びしていきがるようなこともなくめちゃくちゃ元気で愛嬌があってかわいいので好きです。


ほらほらほらほら