ショートネタは客にも集中力が求められるから

こないだフジ系「爆笑レッドカーペット」でアンガールズがやってたバレーボールしばきあいネタは、最初はただワチャワチャと無計画に暴れてるだけのように見えて、「あぁいつものアンガールズが適当にやってるだけか」なんて、そんなおもしろく感じられなかったんです。

でも、録画してあったのをもう一度ねっとり凝視してみたら、あらやだ、ちゃんとおもしろかった。

ほんのワンシーン、コンマ何秒の一瞬のカタルシスみたいなものを起爆剤にして、最後まであとをひく笑いが生みだされているんです。

動画を拝借

これ、ネタ中の 54 秒あたりで山根が田中の頭頂部を「ビターン!」とアタックするところで田中がキレるのです。で、田中がキレてからが真骨頂なんです。

まぁしたり顔で語りを入れるほど深いネタでもない気はしますけど、よく見たらそうだった、と。

このコント、ぼくはリアルタイムではパソコンかたかたキーボード打ちながら横目で見てました。ちゃんと「鑑賞」してなかった。だからその「ビターン!」をうっかり見逃してしまってました。

いったんポイント逃しちゃったせいで、すべてを見失ったんですね。なにもかも。

どんなことも「ながら」では芳しくないのでしょうが、特にショートネタを視聴するときは、客にもいっそうの集中力が求められるんじゃないか、目から血を流しながら見るべきなんじゃないか、ほどのことは言えるかと思います。


爆笑レッドカーペット」は 4 月から毎週土曜の夜 7 時に放送日時を移るらしいです。

この時間帯移動がニュースサイトで「昇格」とか書かれているのは見当違いなことだと思います。

ところでそんな「土曜夜 7 時」って、いちばん食卓で家族みんなでテレビ見ようぜ、って時間帯ですよね。「孤食の時代」かも知れませんが、あくまで比較対象として、他のどの日時に比べても「土曜夜 7 時」はもっとも晩飯食らいながらみんなでテレビ囲んでダベってる時間帯、でしょう。一応。

ところが家族にかぎらず、他人とお笑い番組とか見てると、もう気になっちゃって仕方ないわけです。他人の眼が。視線恐怖なだけかしらん? まぁいいや。お互いアカの他人同士だったら別に構わないんですけど、知り合いは、たまにトークとかしなきゃいけない。

いらぬ作業が増えて、思考がとっちらかります。

で、そうなると、結果的にどうしてもおもしろいポイントを見逃しがちになっちゃう。これはパソコンで実況とかしながらやっても本当にそうで、テレビから笑い声が聞こえてきて初めて「や、今なにがあったのよ」とまぬけな後乗りになってしまいます。

そんな「ながら見」の視聴者が不当に低い評価を与えるようになったら、レッドカーペット芸人としてもたまったもんじゃないですよね。って思うんですね。ちゃんと見ろよって感じにならざるを得ません。や、そこまで芸人側を斟酌する必要もないのかな。

ただ「ながら見」によって生じる結果は、誰にとってもしあわせなことになるとは思われないのです。あとはもう、レッドカーペットが家族の食卓における単なる「食い物」として消費されないことを祈ります(←オチです)。