サトタショウ

里田まいの日であった。

もともと里田はサッポロチェルビーズという札幌の女子フットサルチームでその立ち上げと同時に主将を任され、今年まだ発足したばかりだという北海道女子フットサルリーグで、他に著名な芸能人はおろかハロメンすらひとりもいない中、孤軍奮闘、東京では華々しさ満点のガッタスの一員でありながら地元の女子フットサルの盛り上げに一役買っている。

そしてこの日はチェルビーズガッタスの他、リーグ戦のうちの一節ということらしく北海道の女子チーム同士の対戦も数試合組まれていた。大方がガッタスないしチェルビーズ目当てだとおぼしき客層の中、上手い人は超上手いしそうでもない人はぜんぜん中学生レベルみたいなアマチュアリズムを発揮していて、特別企画であるガッタス戦を欠いて金を取って客を入れるだけの価値があるのかどうかはわからなかったが、少なくとも里田まいチェルビーズを超真剣にしかも一時的なものではなく継続的に続けていることだけは伝わった。それくらい姿勢としてもまたプレーでも全力だった。

ガッタス戦の前に催されたチェルビーズと他のチームとの公式戦で里田は豪快なシュートを決め、試合の MVP に選出されていた。流れは既に里田に傾いていた。

ちょうど里田のヘキサゴンでのブレイクによるバラエティタレントとしての知名度の上昇と軌道を同じくしてチェルビーズが誕生したこともあり、現場で実況していた地元テレビ局のアナも、里田をおバカネタでいじっていた。試合中に里田が他の選手を呼んで何か話せば「そう複雑な指示を出していないものと推測されます」。里田が真剣な表情をしていても「しかしおそらく何も考えてはいないでしょう」などと。やがて首尾よく里田がゴールを決めれば「先制点をヘキサゴ〜〜〜ン!」。ウケてた。

で、ガッタスとの試合終了後。たしかにとても盛り上がったいい試合だったので、半ば儀礼的とはいえ、スタンドからはスタンディングオベーション喝采が沸き起こるのだった。もともとコンサートとかだったら立って鑑賞するのが当たり前なんだからスタンディングオベーションにそう意味があるのかわからないけど、「わざわざそこで立った」というのが肝心なのだろうか。

ともかくそんな光景に、里田はジワッときたらしい。イベントを総括するような最後のインタビューで、いろいろ感極まったらしく泣き出してしまった。北海道の女子フットサルのこの界隈を自分が引っ張っているんだというちょっとした矜持もあっただろうし、そんな失敗できないという妙なプレッシャーの中、ガチで弾丸シュートを決めて自ら MVP を獲得。ガッタス戦でも点を入れたし、あげく最終的にスタンディングオベーションを受けたし、とか、いろいろ込み上げるものがあったのだろう。あれはさすがに本泣き。あやうくもらいそうになった。いいものを見た。