ロボット三等兵

勝手な思い込みをひとつ。W の 3rd シングル「ロボキッス」(2004)がぜんぜん売れなかったことを当時のつんく♂は思い悩み、このときを契機につんく♂はプロデューサーとしてのやる気がおもいっきり失せたのではないか、という妄執に囚われている。

楽曲全体を支配するキラキラしたおもちゃ箱のような遊び心であり、メリハリのある構成の妙であり、加護辻ボーカルの卓越したいい意味での舐め具合と当時ちょいベテランとしての自制具合との均衡であり、ジャケット、衣装、ヘアスタイル、そして「ロボキッス」という鉄腕アトム以来のロボット幻想と恋愛話の融合みたいな心くすぐるテーマであり・・・と、シングル「ロボキッス」は珍しくすべてにおいて噛み合っているようで、プロデュースワークとしてはつんく♂史に残る出色のデキだった筈だ。しかし特にパッと売れたりはしなかった。

つんく♂がどう思ってるかどうかなんてのは所詮ヲタの妄想です。でも少なくとも個人的にはハロプロ楽曲はパッケージ全体としての品質をいくら高めたところで売り上げに直結することはちーっともないのだなァ、と肌で感じていささか失望したロボキッス事変であった。別に誰のせいでもないんですけどね。ただ PV 本編で Berryz 工房がバーター丸出しでむりくり登場しなければ本当にパーフェクトだったのでそこは完成度を追い求める上での唯一の手抜かりだったかも知れない。


それにしても「ロボキッス」シングル V のこのジャケット写真はあらためて見ると圧巻だ。

シングルV 「ロボキッス」 [DVD]

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大きい辻加護の手のひらの上に小さい辻加護がちょこんと乗っている。まるで三蔵法師の手のひらの上で踊らされている孫悟空のよう。あるいは藤子・F・不二雄的な近未来イメージさえ喚起される少しふしぎな世界観が呈示されている。

でもジャケ裏をひっくり返して見てみたら、こんどは大きい辻加護の頭部からニョッキと生えている操縦桿を小さい辻加護がたのしそうに操縦している写真で、実は大きいほうの辻加護こそがロボなのだった・・・という軽い仕掛けもあったりする。

歌詞ブックレットも「 KG-2004 」「 TJ-2004 」のロボ解剖図みたいなの載っててものすごい凝ってるし、この一作にめちゃくちゃ気合い入ってるのは悲しいほど伝わるんだよ。