Poche
Poche
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yoshiki*lisa
日本コロムビア (2012-03-28)
売り上げランキング: 2237

昨日5月12日(土)に池袋アムラックスホールで開催されたyoshiki*lisaさんのトーク&じゃんけん&握手会&ミニライブに行ってきました。1stアルバム「Poche(ポッシュ)」発売記念イベントです。ミニライブではアルバム収録曲をきっちり4曲歌ってくれて、特に「ルパン三世」79年シリーズのエンディングテーマだというサンドラ・ホーン「LOVE SQUALL」のカバーが聞けたことがとりわけ嬉しく、盛り上がりの点では「君が待つ世界の果て」「Destin Histoire」そして水樹奈々さん名曲カバー「DISCOTHEQUE」ももちろんよかったのですが、「LOVE SQUALL」がいちばんなごみました。
吉木さんの歌手としての魅力を言葉で伝えようとする際、特にとりわけ好きなところを究極まで突き詰めていくと、すなわちそれは「声」だというところにたどり着きます。余人に代えがたい魅力を備えた吉木さんの歌声が好きです。いや歌っていないときも含めて声が全般的に好きです。というか声以外も好きでしたすみません。
そんな吉木さんの声の結晶「Poche」。
歌にその人間性がにじみ出るものだとすれば、吉木さんは基本的に朗らかな善人なのでそのあたり隠しきれない。とりわけ峰不二子のテーマだという「LOVE SQUALL」には優しいファルセットが駆使されていて、包み込まれるようにまどろんでしまいます。
ちなみにアルバム収録曲は、吉木さんがオーディション的な現場に臨むにあたって課題としたという転機のMay'n「ダイアモンド クレバス」(マクロスF)や、妖かしの魔法を使っておどろおどろしく深い闇を想起させることに成功している島みやえい子ひぐらしのなく頃に」、そして最後のほうでとびっきりの高音ボイスがスコーンと抜けてしまう地声の強靭さ炸裂の大黒摩季あなただけ見つめてる」(SLAM DUNK)など、いずれも歌手としての幅を押し広げる本当にいいカバーばかり。もちろん水樹奈々さんの「DISCOTHEQUE」(ロザリオとバンパイア)も本人が尊敬する人だけあって完全にハマってます。
楽曲ごとに違う表情を見せる声が、どんな歌詞の世界にもよくすんなり馴染んでいる。楽曲に合わせて自在に空気感を操る女優魂と卓越した技術をもって、基本アニソンという一貫性があるアルバムの枠の中で、最大限の振り幅を演出している印象です。
またオリジナル新曲でアルバムの冒頭を飾るリード曲「君が待つ世界の果て」でも、特に大サビみたいな山場にとてつもないポイントが1カ所潜んでおり、それはバックの演奏がうすくなって吉木さんの歌が浮き彫りになるところなのですが、もうこんな声が宇宙に存在していいのかという優しすぎる声を聞かせてくれる。ヒーリングとかささやき系ではなく、魂の奥底から湧きでる優しさが直接的に声に乗っている。
付録DVDにもミュージックビデオやレコーディングのメイキングなどが充実した内容で収録されており、ミキサー卓に座ってホニャホニャ言ってる場面がなにより超かわいい。既発シングル「Destin Histoire」とそのカップリング「限りある世界で」も含めて、全8曲+DVDの「Poche」がかけがえのない作品になったのは本当によかったです。
でもって、そんな吉木さんがこれから歌手として見据える視点は何なのだろうと思う。「Poche」の続編的なアニソン三昧になるのかも知れないし、オリジナル曲がぶわっと大増量されるのかも知れないし、またぜんぜん別の方向へ飛んでいくのかも知れない。
少し時代を遡ると、2010年のご本人の誕生日イベントで10曲が歌われたのですが、そのラインナップはデビューシングルの「夜桜お七」をはじめ「真っ赤な太陽」「秋田大黒舞」「Don't say “lazy”」「悲しき口笛」「帰ってこいよ」「また君に恋してる」「津軽海峡・冬景色」「天城越え」「涙そうそう」だった。所属事務所フィットワンさんのライブでサザンオールスターズの「涙のキッス」をカバーしたこともあり、これもこれで小節をほんのり利かせながらの歌いまわしが超越だった。
最近ではももいろクローバーZファンであることを公言して憚らず「イベントでアイドルソングをカバーしたいですね!!」なんてヤル気を見せていたのも昨年2011年の事務所ライブでのこと。津軽三味線も習っていて、こないだFM NACK5おに魂」でも弾き語りをちょっぴりしっかり披露してくれた。
音楽のジャンルへの偏見やこだわり、壁がない寛容で柔軟な心。レパートリーは吉木さんの興味の赴くまま。あとは大人の人たちと相談していろいろよろしくやって欲しいです。吉木さんに声という楽器を奏でてもらえれば、もう何がどうなっても構わない、という覚悟ではあります。