「整理されたカラオケ」のご提案

ほんのちょっと昔の「笑っていいとも増刊号」で『整理された雑談』というコーナーが組まれていたことをご記憶の方も多いでしょう。

放送終了後の恒例となっているトークをあっちこっちにとっ散らかすことなく、あえて「テーマ立て」を最初にしてから出演者それぞれが話す内容をおのおのフリップボードに書いたうえで、きっちり「雑談」をするという主旨の「整理された雑談」。たしか関根勤が提案者だったかな。

このことが頭にあったので、この方とふたりで『整理されたカラオケ』という試みをやってきました。なんとなくカラオケに行ってなんとなく歌ってなんとなく帰ってくるのとはちょっと趣向が変わります。

以下、その概要をご紹介。

「整理されたカラオケ」とは?

・ふだんとっ散らかりがちなカラオケを理路整然と執り行うことを目的とします
伊達や酔狂ではやりません。あくまで計画的、事務的、効率的に。

「整理されたカラオケ」の方法(事前準備編)

・曲数、曲目、曲順、カラオケ使用機種をあらかじめすべて決めておきます
参加者が多数の場合は特に事前の打ち合わせを入念にしておきます。また自分の歌う曲目はメモ等で手元に準備しておきます。ネットのカラオケ業者サイトで自分の歌いたい曲があらかじめ配信されてるか否かを確認しておくとより確実ですね。

・「しばりカラオケ」が有効です
「 80 年代女性アイドルしばり」とか「クリスマスソングしばり」とか企画はいろいろありますけれども、これらをその場の思いつきで決行した場合、おもいのほかグダグダになることがあります。「 B メロ知らねぇ」とか。その点「整理されたカラオケ」であればあらかじめそのしばりを共有しておくことによって練習が可能。なるべく完璧にマスターしてから臨みます。

・カラオケ店を予約します
プレミア DAM など人気機種は塞がってる可能性もあるので強く推奨。

・自分の選んだ曲を練習します
近所迷惑にならないように、自分の部屋で布団を頭からかぶりながら、こっそり歌い続けます。複数人で行く場合はまず前もってひとりでカラオケに行って歌唱の完成度をチェックするのもいいかも知れません。

「整理されたカラオケ」の方法(現場編)

・現場に到着したらあらかじめ全曲をリモコン操作等で入力
このとき「捨て曲」として BGM 代わりに 2,3 曲流しておくとその間にスムーズに入力できます。

・参加者が多数の場合は事前にローテーションを決めた上でそのとおりに入力
入力間違いなどでトチってしまうとあとで一気に流れが悪くなるのでくれぐれも慎重に。

アルコール飲料の摂取による酔っぱらいカラオケは禁止
水かお茶かジンジャーエール程度に留めます。お酒はカラオケの後で!

・あとはひたすら歌うだけ
はりきってどうぞ。

「整理されたカラオケ」のメリット

・心構えができている
事前に練習しておくことで歌唱の完成度は飛躍的にアップ。心身共に充実したカラオケ時間を堪能できます。「覚えてる曲を歌う」のではなく「歌うために覚える」のです。歌い手は満足。ひいては聴き手のストレス低減にもつながるや知れませんが、これはふだんのお互いの人間関係が物を言います。

・アルコール類の摂取によるぐだぐだが防止できる
飲酒によるカラオケ代金高騰の防止にも貢献します。

・現場で選曲にかかる時間がゼロ
「どの曲歌おうかな」「誰が最初に歌う?」などの空疎なやりとりで場が白けることが無くなります。

・「歌本」を見る必要が無い
「他の人が歌ってるあいだに歌本見っぱなし」という「カラオケあるある」からの脱却を図ります。

・ひとりカラオケのときは完全に「俺ライブ」のセットリストを組むことになって大興奮
一曲目から中盤のしっとりしたバラードゾーンを挟んでオーラスはアゲアゲの楽曲で盛り上がり、勝手にアンコールを設定してラストの〆曲のエンディングで余韻に浸りながらマイクを置くまでが俺ライブです。淀みなくできます。

「整理されたカラオケ」のデメリット(と対応策)

・「その場のノリで選曲」というアドリブ的ダイナミズムが失われる
しかしそんなカラオケは忘年会の二次会などでいつでもできます。ノリ重視などあやふやなことは今回にかぎってはおあずけです。

・選曲が他の人とカブる可能性がある
気まずいことです。ただ、これはカブっても自戒の意を込めて歌わなければなりません。何万曲もある中で曲がカブるなんてのはよっほど没個性。絶対にカブらないよう最初から選曲にオリジナリティを持たせるべきなのです。付随的に歌える曲の幅が拡がります。

・他の人が歌ってる最中は手持ちぶさたでは?
やることは無限にあります。具体的には、黙って聞く、いっしょに口ずさむ、ノリのいい曲は素直にノる、縦揺れ、横揺れ、ヘッドバンキングモッシュ、バラードでは大げさに感動する(フリをする)、歌い手の邪魔にならないようこっそりハモる、歌唱力に自信があるなら堂々とハモる(そして歌い手を困らせる)、手拍子を打つ、タンバリンを叩く、エアギターを奏でる、フリコピをする、ジャンプする、ワイパー、ボックスステップを踏む、「ヲイ!ヲイ!」の連呼、ヲタ芸に走る、ソファから崩れ落ちる、モニターに映し出される歌詞の意味を卑猥な方向に曲解してひとりでニヤニヤする、その曲にまつわる嘘エピソードを捏造して FM ラジオ番組に投稿する等です。


さて、そんなガチガチに「整理」しながらカラオケやって愉しいのか? そもそも今さらカラオケ気合い入れてやる必要なんて無いのでは? とかご意見はあろうかと思われますが、ぼくなんかわりと四六時中歌ってないと死んじゃうという泳いでないと死んじゃうマグロみたいな体質なんでいろいろ工夫を凝らすしか生き延びる術はないのです。