もう一生キレない人

「もう一生キレません!!」


吉木りささんの一言が忘れられません。
それは、半年間レギュラー出演していた「劇団サンバカーニバル」(FM-FUJI)に久しぶりにゲスト出演で姿を見せた日のことでした。2011年1月29日。
生放送の終了後、スタジオ公開収録に集まったファンを前に行われたトークで、吉木さんがそう高らかに宣言したんです。


テレ東系「ゴッドタン」の「芸能界キレ女塾」は、バカリズムが気弱でなかなかキレることのできないグラビアアイドルを「キレ女」に鍛えあげる企画。
その第1弾として2010年6月に放送されたのが、吉木さんの出演回でした。
当サイトでもこの放送について当時いろいろ書いています。
「ゴッドタン」史上もっとも綺麗なオチ


この回を収録したDVD「衝動のモンスター傑作選〜団体芸サミットvsキレ女塾vsストイック暗記王〜」が、来週3月23日に発売される予定です(震災の影響などがなければ)。
同時発売は「芸人マジ歌選手権フリーダム」。
この2本のDVDサンプル盤を、先日テレビ東京様より自宅に届けてもらいました。「超面白いから見てね。そしてよかったら宣伝しといてね」ということだと思います。本当にありがとうございます。


「ゴッドタン」の揺るぎなさ。
それは、おぎやはぎ劇団ひとりの圧倒的な安定感や、たまのどうしようもない鬼畜ぶり。
松丸友紀アナのたまに見せる憑依力。マスコット性。
バナナマン、オードリー、南海キャンディーズ山里etcといった数多の芸人に番組が寄せる信頼。
グラビアアイドルなど未知のタレントのポテンシャルを信じて、ある程度は自由に泳がせてしまう寛容さ。
ときにスタッフまでもが表舞台に登場してしまうボーダーレス。
死角などありません。


ストイックな作り込み。奇跡的な展開。絶望的なくだらなさ。
今年いちばんテレビで笑ったのは、正月に放送された「マジ歌スペシャル」の「トシムリン」です。劇団ひとりが特殊メイクで田原俊彦クレムリンを融合したモンスターに扮して「抱きしめてイムハタ」を歌い踊ることのとてつもないおかしさ。説明のしようもありません。


この「キレ女塾」でゴッドタンに初登場した吉木さんも、そんな番組世界の一員になりました。
深夜バラエティの魔法をかけられて、ふだん穏やかな表情が一変。
眉間にシワを寄せ、キレまくっている。


極度に小さい水着を着るよう強要されて一言。

こんな水着 着せるスタッフが
おかしいんだっつってんだろ!!

これは普段もときどき内心思ってそうですけどw


そんな吉木さんの滅多に見られない勇姿を、キレるさまを、この機会にぜひご覧頂きたい!!
DVD自体、ボリュームたっぷり、サービス満点ですよ。


購入は、ローソン、テレビ東京HMVで。
http://www.tv-tokyo.co.jp/god/dvd/


で、そんな「キレ女」を演じた吉木さんが、ファンの前で「一生キレません」宣言をしましたよ、というのが冒頭のお話。
なにかの話の弾みだったんでしょうか。前後の流れは正直あまり覚えていないのですが、本当にこう言っていたことだけは忘れられない。


なるほどたしかに吉木さんはとにかくひたすら優しい。
気遣いの人である。隣人をただ愛し、一方では己を律することに迷いがない。
世の不幸を我が事のように嘆き、悲しむ。
幸せを祈り、祝う。
他人にイヤな感じを決して与えない。
謙虚で礼儀正しく、常に笑顔。
それでいて芸能人としてのプライドはちょっとあったりする。たとえば自分が可愛いことは十分自覚していて、インタビューでも特に否定したりしない。そこもまた正直でいいんです。


この震災。


吉木さん本人のオフィシャルブログ「吉木日和」でも、Twitter@risayoshiki)でも、レギュラー出演しているラジオ番組「おに魂」(FM NACK5)でも、本当に前向きでポジティブなことばかり発言し続けています。


自身も被害に遭っているのに。

私の町は液状化、地割れが酷く砂ぼこりがまっています。
眼鏡やマスクをしても、目はかすみ、口の中がザラザラしています。
あちこちで断水していますが、町全体で、お互い積極的に声を掛け合い、協力しながら励ましあっています。
みんな強いです。へこたれません。
3月13日

被害の状況を描写しています。そこから明るい希望を見出している。精神性が綺麗なんです。

少しほっこりして頂ければ…と思いささやかながら写真を載せさせて頂きます。(不快に思われたらごめんなさい…)
3月14日

被害に遭っても売れっ子なので仕事は続く。その日の現場で撮影した写真を、ブログにおそるおそる載せてくれました。ほっこりします。

停電、電車の運休など、これからも続くかと思われますが
被災地の皆様を思う度、停電?どんとこい!!と鼻息荒くコンセントを抜いてます。
3月15日

元気もユーモアも物語性もある。


いつも吉木さんは「ぬーんm9(´Д`)プギャー」とか「意味ぷーの助だったおwww」とか言ってばかりで、ハチャメチャな人である、という印象です。
言い方を変えると、ありきたりな言語体系に頼らない右脳タイプの動物的勘が著しく発達している。
でも表現方法がどうあれ、根っこが真面目なのは普段からわかっていたし、難局を迎えても実際わかりやすくそのとおりでした。


Twitterで発する災害情報やちょっとした小ネタRTも同様。たまに心配性なところもあるけど、それは誰だって同じこと。
これほど情報が錯綜する中、吉木さんに備わっているフィルターが、悪しきもの、まがいもの、よこしまなものを、すべて濾過してしまう。つくづく明るくて健全、かつ有益であろうツイートだけが流れてきます。
キレるどころか、愚痴、怒り、皮肉など、マイナスの感情がぜんぜんひとつもない。
ただの軽口だったかも知れない「一生キレません」宣言も、あながちウソじゃない気がするんです。
これまでの人生で一番キレたのが、学生時代に自分の部屋で身体の手入れをしていたとき、お父様にいきなりガチャッと入室されてしまったとき。これは「キレ女塾」でも話していましたし、こないだ「DMM.com」のライブトークでも反抗期のエピソードとして語っていました。


仕事の関係者、マネージャーさん、ご家族、近所の人たち、ファン、そしてペットのチワワ・愛犬サブちゃんまで。隅々まで行き渡る冷静で真摯な観察眼を兼ね備えている。
それでいて、情熱的ですこし照れくさいようなメッセージを届けてくれたりもする。


吉木さんのちょっと信じられないような優しさを必要とする人、心のよすがとする人は、今後きっともっと増えていくはずです。