キャスティング

気がつけば あなた」のことは、まぁいいの。長期的なコマーシャルをおもいっくそびしばし打ってきて尋常じゃなく売る気マンマンだったはずなのに肝心の CD 店など実地で対お客さんというフィールドに立ったときの販売戦略に「初回限定版わんさかで廉価の通常版の出荷枚数を抑えている」みたいなライトユーザーには厳しいちょっとしたまずさがあったおかげでオリコン 1 位取れないかも知れないけど、いいの。

愛・地球博に出てるのを見て確信した。この人は記録よりも記憶に残るアイドル。これ以上ないベタな言いぐさかも知れないけど、事実それがすべてだと思う。王より長嶋。だって今週付のオリコンシングルチャートで松浦亜弥を踏んづけて 1 位を取れそうな大塚愛に、じゃあ「愛・地球博」の閉会式のあのいかにも「WE ARE THE WORLD」的なテイストの大スケール合唱曲を朗々と歌えんのかってこと。

なにも大塚愛に限ったことじゃなくてさ。松浦亜弥というキャスティングありきであの歌と小芝居の演出なのか、あの演出ありきでそこにはめ込まれたパーツが松浦亜弥(+竹下景子+神木キュン)なのか知らないけど、他に松浦の演じた役をあと誰ができるんだよ。歌だけなら亀渕友香にでも森久美子にでもやらせとけって感じだけど、そういうことじゃないんだよ。竹下景子の「娘」なんだよ役どころとしては。

未婚のときなら宇多田ヒカルというラインもあったかも知れないけど今やムリだしそもそもヤツに娘役の小芝居は不可能。浜崎あゆみは演技ができるはずだが、やらない。アーティストとしてそういうことにはならない。じゃあアイドルとしては今松浦亜弥を唯一凌駕しているとさえおぼしき上戸彩はといえば、演技はともかく残念ながらあんまり歌えない。中島美嘉は案外悪くないが若干荷が重い。一青窈ではメジャー感に乏しい。aiko では老けすぎ。

ハロプロに目を向けてみるとモーニング娘。という手はたしかに可能性として十分あるのだが、そのタイミングは「今」ではなかった。武道館ライブが盛り上がったようだから良かったやね。後藤真希安倍なつみ、W、いずれも悪くないが松浦と比べると対外試合では残念ながらやや格落ち。「愛・地球博」の申し子ともいえる石川と道重のエコモニ。あたり出てきてくれれば個人的には狂喜乱舞だったけれどもせいぜいチョイ役が限界である。

で、最後に思った。この松浦亜弥の大役は、2000 年の沖縄サミットで安室奈美恵が「NEVER END」を歌っていたときと意味合い的にはほとんど同じだ。当時の安室はセールス的には落ち目であったけどその仕事だけはさすがに認めざるを得ない状況ではあった。今の松浦亜弥に比肩できるのは 5 年前の安室奈美恵だ。まぁ「娘」役で小芝居に順応できるだけ松浦亜弥のほうがアイドルとしてはトータルで上だけどな。今日はとことん買いかぶるよ。だってこれ皇太子と首相が臨席してた場である。ぼくが何とも思わなくても誰かが勝手にありがたみを付与してくれるよ。また歌うめーし。マジでこれ極めた感じだよ何かしら。