「モヤさま」大江アナが早退した日

テレビ東京伊藤隆行プロデューサーがそのゴールデン進出について「QuickJapan」web版でロングインタビューに応じていたり、現在平日の月曜日から金曜日まで午前11:30に再放送を流し始めたり、4月のゴールデン進出に向けてなにかと動きのある番組「モヤモヤさまぁ〜ず2」。

しかし今やはりファンが注視するべきなのは木曜深夜0:12からの本放送です。

東京都北区周辺のモヤモヤSPOTを歩いた4日の放送では、大江麻理子アナが「次の仕事があるから」という理由でロケを途中で離脱してしまいました。まさかのさまぁ〜ず2人だけによるロケ実現。この番組で大江アナが早退するのは初めてのことらしいです。

申し訳なさそうにカメラの前から姿を消す大江アナ、コンビ2人で取り残されて途方に暮れるさまぁ〜ず、そのさまぁ〜ずを励ます商店街の人々など。ハプニング的な要素も多いとはいえめずらしい放送回になりました。


さまぁ〜ずと大江アナは町の空き地で野球の練習に明け暮れる小学生兄妹とその父親を発見。竹竿での素振りやバドミントンの羽根を使ったバッティング練習などをひととおり見せてもらいます。小学生兄妹の野球に向かう姿勢は超真剣。

しかしまさにその最中、大江アナがいきなりこう告げるのです。

大江アナ すいません! 時間が…
三村 え、なに? なんの時間?
大江アナ 次の仕事が……
大竹 仕事って!
三村 これ(モヤさま)が、仕事…え?
大江アナ この仕事の次に、仕事がもう一件、今日入ってるんですけど(泣)
大竹 なんの仕事?
大江アナ 「だからゴルフは面白い」っていう…
大竹 え?
三村 いま野球やってんのに?
大江アナ エヘヘヘ
大竹 すげー楽しそうじゃねーかよ!
三村 いいじゃねーかよ……で、「とれ高OK」出てないってことは、大江無しでロケなの?
大江アナ おふたりにお任せします
三村 おまえ、日没までじゃあ野球やってんぞふたりで


そんなやりとりの後、大江アナは空き地に置いてあったトレーニング用具でランニングをしながら、小走りに消えていきました。

この「だからゴルフは面白い」の出演者だったという宮本勝昌プロのブログに掲載されている大江アナの画像の衣装が、この回の「モヤさま」と完全に同じだったので、別にウソでもなんでもなく、本当に多忙による早退だったようです。

ただ、大江アナの早退は、あらかじめ予定されていたであろうハプニングだったと同時に、もしかすると「モヤさま」にとってひとつのシミュレーションだったのでは? という気もしました。

「大江アナ抜きのモヤさまはどうなるのか?」

結局このあとさまぁ〜ずは「とれ高」(放送用の素材)を稼ぐため、大江アナ抜きの2人だけでロケを再開します。

歩き始めたのは北区上中里の商店街。すると道行く人々から「がんばってください!」の声が次々と飛んでくるのでした。芸能人の町歩きとしてはふつうの光景なんでしょうが、いつものモヤさまにはないくらい、なぜかものすごく声援が送られる。

町のおばちゃん がんばって!
大竹 あ、どうもー
三村 今日もがんばったよー
町のお姉さん がんばって!
三村 ありがとうございます
大竹 このへんはいいよね。急にいっぱい応援してくれるよね!
三村 「がんばって!」って言われたのはさ、「大江がいないけど2人だからがんばって」なのかな?
大竹 そうだなー。「2人ですけどちゃんとね」っていう
町のおばちゃん がんばって!
町のおばちゃん がんばってください!

ありがたいけど少しホラーじみてもいる「応援がとまらない街」……。


応援されながらも三村がふと昔を振り返ります。

三村 こうやってふたりで歩いてんのさ、めずらしくない?
大竹 めずらしい(笑)。ここ何年もない
三村 ないだろ? 「新・諸国漫遊記」以来じゃない?
大竹 15,6年ぶりぐらいですよね
三村 「♪風まかせ〜」だよね
大竹 そうですね

まださまぁ〜ずが「バカルディ」だった頃によく出演していたフジ系「新・諸国漫遊記」(90年10月20日〜00年3月25日)は土曜昼の番組。学校の半ドンから帰ってきてお昼ごはんを食べながら見ていた記憶があります。

三村大竹にとっては必ずしも順風満帆ではなかった時期の仕事でしょうが、それから10年以上の時を経て、さまぁ〜ずの名になんの違和感もなく、暗雲を散らすようにどメジャーな存在になって、なんとなく似ている町歩き番組の「モヤさま」の今につながってる。

そう思うと「新・諸国漫遊記」の名前が出てくることも感慨深いですね。


商店街の通りすがりの家の飼い猫とじゃれ合い始めたさまぁ〜ず。猫おびき寄せ用のおもちゃを使っても猫からはさほど関心を集められませんでしたが、代わりにその飼い主のおじさんから大江アナの不在を指摘されました。

おじさん あれ、2人組だったっけ? 3人組じゃなかったっけ?
三村 いつもね、3人で
おじさん 3人だよな。あれだ、「湯浅さん」呼んであげよう
大竹 湯浅さん?大丈夫ですよ
三村 いやそれ大丈夫ですよ
大竹 湯浅さん……
おじさん 湯浅さーん!

ここでおじさんは唐突に誰にも誰だかわからない「湯浅さん」を隣のお店から呼びます。「1人足りないから呼ぼう」という世話心でしょうか。

固辞するさまぁ〜ずを尻目に、ほどなくして店から「湯浅さん」が出てきました。顔にボカシがかかっている。さまぁ〜ずは困惑しながら「湯浅さん」と挨拶をして、それでこのくだりは終了です。大江アナの不在によってとうとう謎の「湯浅さん」までおびき寄せるほどの磁場がさまぁ〜ずに発生してしまいました。

このあとおじさんから「この商店街はもう終わっちゃった。時代的に」などの重たい話を聞かされたあと、さまぁ〜ずは町歩きを再開。商店街の人たちに「どうですか?商店街は」「どうもー!」とひたすら愛想よく声をかけながら歩いていきます。

三村 あれ?なんか(番組の)テイストが変わったよね!?


やがてモヤさまの「テイスト」を取り戻すべく、さまぁ〜ずはガチャガチャ遊びを敢行します。

いつもは大江アナが持っている財布から初めて小銭を出す大竹。「トイレ」関係の下ネタなガチャガチャを、1000円以上の金を使って大人買いしてました。しかもガチャガチャを出したのにいくつかは「カプセルを開けないで放置する」という、いやな大人の一面を見せつけます。まるでなにか良心のストッパーが外れたかのように……。

ガチャガチャを終えて、たまたま訪れた焼鳥屋の66歳のおばちゃんも、大江アナのことを言及してきました。

おばちゃん 今日、女の子(大江アナ)は?
三村 よく知ってますねー
おばちゃん 見てますよー!

66歳にも認知されている。

しかしこのあたりがさまぁ〜ずにとっては商店街とのふれあい行脚の「限界」だったようで、いろいろ疲弊した感じで喫茶店に入っていきました。三村がコーヒーをすすり、大竹がアイスティー的な飲み物のグラスの氷をカラカラとかきまぜながら、とつとつと語り出します。

三村 ……(収録が)もういいでしょ
大竹 ハハハ
三村 なにこの感じ?
大竹 この(氷をまぜる)音でしょ? この音の中での……
三村 これ(2人だけのロケ)、やってるコンビいる?
大竹 あんまいないでしょ。最近見かけないね
三村 2人で喫茶店入って(笑)
大竹 あんまり見かけないんじゃない?若手やってんのかな?
三村 (スタッフからの指示で「とれ高OK」が)出た!
大竹 出た
三村 よかったー
大竹 そらそうだろ
三村 だから大江いないと無理だよ
大竹 誰かいないとダメです
三村 これ全員スタッフ男子でいてみ?
大竹 うん
三村 マジでオレもう、「うっせー!」って当たり散らすよ?
大竹 (笑)

基本的にはコンビ2人でさまぁ〜ずなので、これが本来の姿であると言えるものの、大江アナがいないのは「モヤさま」という番組にとっては異例のことでした。

そして結果、どうだったかといえば、さまぁ〜ずの2人も、商店街の人も、おそらくスタッフも、そしてぼくも、案の定大江アナの存在のデカさを思い知るわけです。少し前の「QuickJapan」で三村が

大江がいるからロケ行こうという気になる

と言っていたのを思い出しました。