東京03 が 2 本目で「 953 点」だった理由


キングオブコント2009」の審査方法はシンプルなものでした。

・審査員は準決勝で敗退したお笑い芸人 100 人
・「100人×10点=1000点満点」
・8 組が 2 回づつコントを披露しその合計点で優勝が決定する

そんな中、東京03 が 2 本目のネタで「 953 点」を叩き出している。

終わってみれば唯一となる「 900 点台」でした。


それまで 700 点台、800 点台が続出していたため、これはものすごく飛び抜けた高得点に思われました。

こうなってしまうと、自然と噴出してきちゃうのが、「高すぎだろ」「ハイハイやらせやらせ」「いやガチだとは思うけど、ちょっとどうなんだろうか…」「そもそも審査員に問題が…」みたいな変な言われ方です。いかにも「その高得点には価値がない」みたいな。


でも、ちょっと待って!

「むしろその段階で出るべくして出た妥当な点数だよ」

という気がぼくはとても強くしています。

もしかしたら今さらなのかも知れないけど、でも東京 03 が不当な扱いを受けるのもシャクなので、一見すると突飛な「 953 点」がいかに妥当だったかという話を、以下に書いていきます。


東京03 の 1 巡目のネタ披露は、8 組の中で 1 組目。トップとしての登場でした。

よく言われるのは「 1 組目は不利だ」ということです。

ほんっとーに今さらながらその理由をあらためてなぞっておくと、「まだお客さんが温まってない」などの不利な条件がある。

出演するお笑い芸人もまたいわゆる「空気」に敏感なはずで、そこをつかめきれていない場合が多いはずです。


そしてもうひとつ。

こちらが本題なんですが、1 組目の最大のハンデとして「審査員が最高点をつけられない」という縛りがあります。

たとえば 1 組目でいきなりすごいコントを見せられて「最高!」と感じたとしても、もしもそのあと「うは、さっきより面白い!」が出てきてしまった場合、一気に手詰まりになる。

10 点満点のシステムなのに「 10 点」をつけるわけにはいかないんですよね。

まずここが基本としてある。


もちろん「さっきより面白い!」に遭遇した場合に同じように最高点をつけちゃうのもひとつの方法です。

1 組目いきなり「 10 点」。2 組目も「 10 点」。その後「 10 点」「 10 点」…。

ひたすら「 10 点」ばかりをつける。これを「ものまね王座決定戦」におけるフジテレビ衣装部の保沢さん現象と呼びます。

ただ、そんな審査員が多くなると、容易に「インフレ」が発生しちゃいます。

差がつきません。


似たような事例でそれが顕著に問題になったのが今年の「R-1ぐらんぷり」でした。

序盤からおもしろいネタばかりだったため、グイグイ高得点をつけたくなった審査員の気持ちもよーくわかります。

ただ、清水ミチコバカリズムに対する「 100 点」とか、ちょっとハイペースで飛ばしすぎたため、途中から上記の例のような点数のインフレを招いてしまい、結果的に審査が「帳尻合わせ」みたいなことになってしまいました。


ひるがえって、東京03 の 1 本目の得点は「 835 点」でした。

まず言えることは、むしろこの「 835 点」には「含みがあった」ということです。

1 組目は実質「 9 点満点」の採点を余儀なくされるわけですから。


10 点つけられないわけですから!


今回の「KOC」では総じて 1 本目の演目よりも 2 本目の演目のほうが高得点を叩き出している。

その象徴が東京03 の「 953 点」。

これはインフレになったのではありません。

2 本目で基本の「 10 点満点」に戻っただけなんです!


2 本目の東京03 のコントは明らかにハマっていました。

「ゴッドタン」の「マジ歌選手権」を経た今、角田のブルースハープがより多くの人に届いた。


1 本目は「 835 点」。そしてその 1 本目よりウケている。

その結果が、100 人のうち多くの審査員の意識の中に、1 本目との「明確な差異」を呼び起こした。


『 10 点』をつけるしか選択肢がなくなった。


つまり「 953 点」とは、そういうことだった、と思うのです。