篠原ともえ 30 歳がやたら艶っぽい


この目線


篠原ともえがゲスト出演した 28 日放送のフジ系「新堂本兄弟」を鑑賞した。


あらためて篠原ともえのプロフィールを確認すると「 1979 年 3 月 29 日生まれ」とあるから今年の誕生日をもって篠原ともえは 30 歳を迎えましたということになる。あのシノラーも三十路か…。そりゃこれ書いてるぼくもいつの間にか歳喰らうはずだ、と感慨深くなる。シノラーとは同い年なのです。他に堂本光一椎名林檎浜崎あゆみも同学年であり、しみるねぇ。

この更新をするにあたって篠原ともえのブログ 09 年 6 月分にざっくりと目を通してみた。一ヶ月に 20 回以上とそこそこの更新頻度を保っている。画像は大きくて美麗。タイトル画像に映っている篠原ともえも往年のシノラーファッションではなくシックでセレブな装いだ。

で、文章を追っていってひとつ気付いたのだけれど、篠原ともえは自分のブログに顔文字・絵文字の類を、ひとつも使っていなかった。「いえええええ〜〜いい!!!」とか「きゃぴぽーーーーーーー☆」とか基本的にテンション高い演出をしてはいるのだけれど、あくまで旧来的な文字遣いに留まっている。それは頑なとも思えるほどだ。

シノラーアバンギャルドな芸風が世を席巻したのは 96 年頃のこと。まだ携帯電話もネットも一般的ではなく、顔文字・絵文字も世間にはさほど浸透していなかった時代。おいなんだコイツどうにかしろみたいなティーンエイジャー・篠原ともえのすっ飛ばしまくって吉田拓郎にも初見で嫌われたという未来人っぷりと、間もなく誕生した顔文字・絵文字文化とは、一見新時代の表現形態として相性がいいように思われるが、実はくっきり断絶されたものだった。シノラーファッションのアイコンに携帯電話は見当たらない。

wiki を見ていて思い出したことがある。2001 年に台湾で泥酔したから云々みたいな事変なんてのがあった。今にして思えば取るに足らないネタであった。詳細も忘れている。そのことも含めて BUBKA 09 年 5 月号のインタビューでも本人が真面目にいろいろ語っていましたね。その内容を記したブログさんもございます。ただ、表舞台から姿を消した期間が長かったようでいて、その実 2000 年代に入ってからもコンスタントに芸能活動は継続してきたみたいだ。

ごく最近でも観測範囲内では電気グルーヴのアルバム「 J-POP 」に収録されている「少年ヤング」のアルバム mix であまりイメージにない綺麗な声で歌っているし、Perfumeかしゆから同年代のミュージシャン仲間とプライベートの飲み会で撮ったという写真にもいっしょに収まっていたし(フライデー的な後ろ暗さがないレベルで)、「篠原ともえが可愛くなってる件について」とか 2ch でスレは立ってるし、吹石一恵主演の NHK 土曜ドラマにも出演しているようだし。あまり過度な露出ではないけれど「今」を順調に生きているらしいことは漏れ伝わってきていた。

篠原ともえは「実は○○」という文脈で語られることがとても多かった。「実は顔の造作は美人」「実は歌がうまい」「実は礼儀正しい子」。ハイテンションで弾けている篠原ともえの裏側を世間はどうしても知りたがる。まぁこういうのは「キャラ芸人」みたいなもんの宿命でオードリー春日とか小倉優子とかと同義だ。そういった「実は」の文脈に絡め取られたイメージで仕事をこなしていきながら、やがてシノラーは、その背中にしょったランドセルを置き、頭頂部に乗っけていたお団子というトレードマークさえももぎ取り、ビビッドな飾り気を排除したその正体へと少しづつ距離を縮めていったのだ。

ブログの写真などを見ていても、やたらしっとりと身に纏ってしまった女性っぽい憂いやら、妙なお色気やらが隠し通せないでいる。歯並びも矯正したようで、その点でも物理的に整ってしまっている。

だからこそ、さて、こんな調子でいざ「堂本兄弟」にはどんな衣装で臨むのか? 大人モード全開でしゃなりしゃなりと出てきたらイヤだなぁ、なんて漠然と思いながら録画していた番組を見ていたのだ。

しかし、やはりシノラーシノラーであった。本人ブログにも『クルクルミラクルを歌うので、元気ファッションで収録☆』とあったように独自のシノラーコーディネートが復活。むしろ解禁というべきか。さすがにプライベートで気に入ってるという大人びたモノトーンのしましまファッションは自重していた。プロ野球マスターズリーグで往年の名選手が当時のユニフォームを着こなしてヒットを飛ばしているような「そうそうシノラーはこうじゃないと!」だ。ノスタルジーがちょっとあるのは否定できない。

いざトークに入ってみると、それなりのハイテンションを維持しながら、番組側からの愛のある悪意で 30 歳の年齢をベタにいじられ続けたところでさほど過剰に動じることなく、やんわりとつっこんだりする程度。華やかさを保つと同時に年季を重ねて大人になってしまった篠原ともえの余裕と懐の深さを垣間見た次第だ。それでいながらブログの写真と同様、番組内でもふとした瞬間にひどく艶を帯びたエロい表情を見せていたような気がする。何度も見せていたような気がする。それはぼくの勝手な勘違いかも知れない。

シノラーは KinKiKids のふたりとつかず離れずな距離感で往時と変わらぬ軽快なやりとりを見せつけ、またいつの間にか親友になっていた深田恭子との温泉旅行を写真つきで紹介したりしていた。たとえ篠原ともえのタレントとしての勢いが若干陰りを見せようとも、直接交流のある人が超一線級でバリバリ活動していると、相乗効果でシノラーも引き上がって見えてしまうようだ。人脈って大切ね。本人ブログ見るとキンキや深田レベルに留まらず、毎日のように芝居やらライブやら行っては楽屋で写真をニコパチ撮っちゃうみたいに芸能文化音楽的な交友関係は絶やしていないみたいなので、しばらくはポジションも揺るがない気がする。

番組の最後には「人前で歌うのは 10 年ぶり」という触れ込みで「クルクルミラクル」が生バンドで披露された。歌の調子はもう十代のころから「実は」聞けるレベルだったし、久々に聞いた石野卓球プロデュースの軽快な女の子ポップスは、篠原ともえが突拍子もなくテレビで輝いてしまっていた一時代に思いを馳せるには十分な代物だった。もちろんクルクルッ☆ってきちんとやったりもしている。

あと、途中の歌詞を完全にすっ飛ばすという凡ミスがあって、なんか「キャピポー」とかごまかしていた。シノラー本人にとっては悔恨事であったはずだ。こういうのは本来ならば録り直しも視野に入れられてしかるべき状況であるはず。にも関わらず、そんなトチリが「面白いから」というきくち伸プロデューサーの判断によって、結局そのまま直されることもなく放送されたのだった。繰り返すようだがどこまでもシノラーシノラーなのだ。もう奇抜な言動は似合わないとか、三十路だからどうとか、そんな些末な次元はとっくに超越している。