ハリセンボン近藤春菜の「レベル上げ」が完了した


ではない


ハリセンボンの箕輪はるかが肺結核の療養から無事復帰を果たしたそうで、レギュラー出演中の TBS 系(MBS)「侍チュート!」収録現場で記者会見を行った模様。まずは一安心といったところです。おめでたい。

スポーツ新聞サイトやテレビでは久々復帰の箕輪はるかの顔色が心持ち良くなってたとか、体重がちょっと増えたとか、せきしろ氏との間柄を云々したりとかみたいな記事が目につきましたが、ここの更新では箕輪はるかの療養中にひとりで仕事をこなしていた近藤春菜についてピックアップしてみます。



けっこうしんどい孤軍奮闘だったとは思うのです。

相方を一時的にとはいえ失ってしまった。顔も名前も十分売れているし、これまでも単独での活動はありましたが、およそ 2 ヶ月間にわたってひたすら「ピン」オンリーでの活動となると、また勝手も違っていたはず。

しかしことテレビでの露出にかぎっていえば、近藤春菜はその苦境をうまいこと逆手にとっていたように見受けられました。まったく勢力衰えずって感じで「ピンでもいけるのね」な印象を各方面に存分に植えつけた印象です。もともと実力者としての素養はチラチラ見せていましたが、この期に乗じてその証明を果たすかのような活躍でした。

「打てば響く」。そんなリアクション芸人的な素質が開花したように見えました。


これまではどつきどつかれなハードパンチャーぶりに欠けるところがあったと思うのです。

相方・箕輪はるかは十分希有な才能の持ち主だし、能力も見た目も名コンビなのですが、いざ箕輪が近藤春菜に向き合ったとき、あまり激しい「応酬」をふっかけたりはしない。

もちろんコントや漫才でそういう派手な設定になった場合はかなりヒートアップするのですが、フリートークの場で箕輪はるか近藤春菜をけしかけたり、おびき出したり、挑発したり、みたいなアグレッシブな光景に出くわしたことが、あんまり無かったわけです。


ところがピン活動で共演者の幅がうわっと広がった。

一連の「角野卓造ギャグ」をたいていどの番組でも必ず一度は要請されるわけです。「あれ? 渡る世間に出てましたっけ?」「映画撮ってる?」「スラムダンクの?」「シュレック?」。

そしてこれはおそらくネタふりのハードルがとても低い。「きっかけ」としてはお手軽です。相方との阿吽の呼吸の丁々発止みたいな部分が無くても成立してしまう。そこが奏功した。

どんな場合にも「角野卓造じゃねーよ!」「マイケルムーア監督じゃねーよ!」「安西先生じゃねーよ!」「シュレックじゃねーよ!あれ CG!」などを律儀にことごとく打ち返す。結果、決してスベリ芸みたいなことにならず、確実にウケる。ときに連爆コンボになったりもする。延々とラリーが続く。まさしく打てば響き渡る鐘。

この角野卓造キレ芸というのはお約束のワンパターンではあって、はたして今後もいつまで保つかわかりません。しかし他の一発ギャグと違うのは他人のきっかけがあって初めて発動することで、さほど主体性が認められず、押しつけがましさはありません。

近藤春菜に似てるルックスの人や動物が奇跡的にたくさんいる(こじつけもありますが)というバリエーションの多さもあって、すぐに飽きられることも無さそう。このたびは手持ちの武器の破壊力をあらためて見せつけた格好になりました。

あるいは仮にそのいじり方が中途半端だったとしても、今度は機転を利かせてその置かれている状況に対しての俯瞰的な「なんなのこれ?」とか「私どうしたらいいの?」みたいな怒りであり困惑でありをきちんと笑いに落とし込める実力もある。最終的には「顔芸」だけでもしっかり笑せられる。強いです。


これまであまり見られなかったカップリングによるテレビ出演がいくつかありました。

泥沼の死闘を演じた鳥居みゆきとの「めちゃイケ」。キャッツアイ風コントで重量級コンビを形成した渡辺直美との「エンタの神様」。同じ吉本でも意外と新鮮だった友近との「しゃべくり 007 」。若手女芸人を統率するリーダーとしての貫禄すらあった柳原可奈子や姫ちゃんらとの「ネプリーグ」。OL から芸者控え室の女中まで幅広いキャラを演じた志村けんとの「だいじょうぶだぁ SP 」。等々。

どれもハズしてません。


元を辿ればぜんぶ相方の不慮の事態によるものです。決して自らピンでの活動を志向したわけでもないだろうし、それにふさわしい時期でもなかった。

しかし結果論とはいえ近藤春菜ピン芸人としての「レベル上げ」には大いに寄与する期間になったようです。

思い起こしてみたのは「ドラクエ 3 」のおぼろげな記憶。

ただでさえ物足りない 2 人パーティだったところをためしに 1 人で戦闘に挑んでみて、なんとか敵キャラをぶっ倒しまくった結果、インフレ起こしたように高い「経験値」が獲得できちゃってウキウキなファンファーレと共にぐいぐいレベル上がってしょうがない。そんな勢いをピンの近藤春菜に感じています。

あとはハリセンボンという攻撃型パーティがうまいことバランスよく機能してゆけばよいのです。