中村仁美アナの甘い罠


「あなたたち、わかったわね」


バレンタインといえばチョコレート。チョコレートといえば甘い。甘いといえばフジテレビ中村仁美アナウンサーの声です。今回はバレンタインデーに Perfume の「チョコレイト・ディスコ」を繰り返し聞きながら鬱々と思いを巡らせた中村アナの話です。

甘い声

中村アナの声は甘い。脳内で再生する「満ぁ〜ん点大笑いでぇ〜す」ほど甘いものはないです。そして顔面の造作も甘い。タレ目もほほ肉も重力にあらがえない。ダレ落ちです。地デジ時代に目立ちつつあるお肌の若干の荒れぶりも「甘いもの食べ過ぎたから」みたいなよけいな連想を誘う。すべてが甘いです。人生観や仕事への認識が甘いかどうかまでは言い及ぶところではない。

そんな中村アナは、2009 年の初めというピンポイントにおいて、もっとも「数字を持っている」女性アナということが客観的に言えると思います。とかなんとか書いといてアレですけど「数字を持っている」なんてのはこしゃくな表現ですね。テレビの中の人がいうぶんには仕方ないですけどド素人がフジテレビを CX とか言っちゃうほど万死に値します。

換言すれば中村アナが出演しているテレビ番組は、ことごとく視聴率がよい。

あくまで参考ですがビデオリサーチによる「その他の娯楽番組」視聴率ベスト 10 ( 2009 年 2 月 2 日 〜 2 月 8 日分)を拝借します。

番組名 放送局 放送日 放送開始 -分数 番組平均 世帯視聴率(%)
1.笑点 日本テレビ '09/02/08(日) 17:30 - 30 23.7
2.行列のできる法律相談所 日本テレビ '09/02/08(日) 21:00 - 54 20.6
3.中居正広のキンスマ TBS '09/02/06(金) 20:00 - 108 18.8
4.おしゃれイズム 日本テレビ '09/02/08(日) 22:00 - 30 17.7
5.ぴったんこカン・カン TBS '09/02/03(火) 18:55 - 61 17.5
6.はねるのトびら フジテレビ '09/02/04(水) 19:57 - 57 17.1
7.クイズ!ヘキサゴン2 フジテレビ '09/02/04(水) 19:00 - 57 17.0
8.世界一受けたい授業 日本テレビ '09/02/07(土) 19:56 - 58 16.8
9.爆笑レッドカーペット フジテレビ '09/02/04(水) 22:00 - 54 16.7
10.世界の果てまでイッテQ日本テレビ '09/02/08(日) 19:58 - 56 16.2

この集計期間のバラエティ視聴率ベスト 10 のうち、中村アナははねるのトびら(ナレーション)」「クイズ ! ヘキサゴン 2 」「爆笑レッドカーペットと 3 本の番組に携わっています。

現役最強女性アナは高島彩アナということでまちがいない、というのがもっぱらここ数年間の共通見解でしょうが(なぜかアヤパンについては「持ち上げたい」という気持ちが否定できない)、ことバラエティのレギュラーに絞っては中村仁美アナのほうが勢いがあります。

はたして中村アナが出てるから視聴率があがるのか、あてがわれたバラエティ番組がたまたまことごとく当たってしまうのか。まぁ視聴率で番組を観るわけでは決してないんですけどね。

ともかく中村アナはすべての番組でちょっとしたラッキーガールっぷりを発揮してます。鬼のバラエティ適性です。

ちなみに TOKIO の「 5LDK 」という番組でもナレーションを担当していますが、これは昨年の 10 月に始まったばかりでまだ様子見です。「メントレ G 」あたりの流れを受けた番組で若干地味な印象ですが、また浅い時間帯に再浮上するかも知れません。

甘い生活

13 日に放送された「わかるテレビ」という特番で 4 時間の単独司会を上から目線の S 女ぎみにこなしているさまには、さすがにゾクゾクするものがありました(主観含む)。

小倉智昭影ナレをつとめてたり、笑福亭鶴瓶が主要キャストだったりというバックアップ態勢こそ整ってましたが、あの場で単独の仕切りがつとまるには、最低 5 年以上のキャリアと確固たるバラエティ適性が必要なような気がします。逆にいっそ新人でという手法もありそうですけど。

比較する必要があるのかわかりませんが、この流れでかねがね気になってることをむりくり言うと、「とんねるずのみなさんのおかげでした」で最近「矢島美容室」のロケに同行している遠藤玲子アナが、あんまり声も顔も固すぎて、なんだかかわいそうになってきます。資質としてムリしか見えてこない。

フジテレビ女性アナの歴史はバラエティアナの歴史、ってことになるでしょうか。つわものどもが夢のあと。かつての局アナ大橋マキは「めちゃイケ」でがんがん押しの強いキャラクターを出したりして将来を嘱望されていましたが、いつの間にかいなくなって、久しぶりにテレビで見たと思ったら NHK 教育でアロマの講師をやってました。これはどうでもいいですね。

ともかくそんな俺のしかばねを超えてゆけというバラエティ死屍累々のあとで、案外、お笑い最終兵器、バラエティ番組アシスタントの天賦の才を開花させた人材が、中村アナだったのかも知れません。砂糖が蟻をおびき寄せるように、中村アナの成分を形成する甘々ちゃんぶりが、蟻という名の我々視聴者を自然と引き寄せているのだ、という詭弁を構築するのに余念がないところです。

また、さまぁ〜ず大竹のようないっぱしのお笑い芸人と浮き名を流した女性アナというのも、歴史上、稀であります。「お笑いに自らの肉体を捧げた女」。急に下品な感じになりました。

甘い罠

ひとつ不安なのは、このさき「ヘキサゴン」の企画で、上司の牧原俊幸アナとのカップリングで、なにやら CD を出してしまうという計画が進んでいるらしいということ。

今さら女性アナの歌手デビューなんてめずらしくもなんともありませんが、こと紳助ブランドの CD に関していえば、正直「粗製濫造」のそしりから免れないような気がします。だいたい「ヘキサゴンファミリー」って、羞恥心以外、ぜんぶスベってるような気がするんですが。

中村アナの場への絡み方は基本的にブレが無いです。しろうとが積極的にウケを狙いに行くときのイタさみたいなものが垣間見えない。出る杭は打たれないというか。マイナスが無い。もしかしたら現場では余計なこと言いまくってるのかも知れませんが、ヘキサゴンは島田紳助の独壇場だし、レッドカーペットの場合は今田耕司高橋克実との三すくみな掛け合いがきっちり味だったりする。

それが一躍、個人としていやでも脚光を浴びてしまうような CD デビュー。中村アナのこれまであまりつまびらかにされてこなかった自意識が「歌」を介することによってどうはっちゃけてしまうのか。

どのみち「全力でやれよ」というお達しがあるでしょうが、あんまり意気揚々とやって欲しくないです。ウマかろうがヘタだろうが「やらされてる」感だけが滲み出ればいいですね。ちなみに曲調としては「演歌」だといいます。番組はひたすら盛り上がるでしょうが、スベりまくって「見てらんない」レベルに事態が逼迫しないことを祈るばかりです。